女性に多い難病「PAH」って知っている? 周囲はどうサポートできる?

世の中には、心臓への負担を避けるため、「子どもを抱っこできない」「買い物で大根などの重いものを買って持ち帰れない」などの悩みを持つ、息切れや動悸などから始まる難病を抱えている女性がいます。

それは、100万人に1人か2人かかるといわれる難病「PAH(肺動脈性肺高血圧症)」。その患者さんが集うオンラインのバーチャルイベントが、ヤンセンファーマ主催で2021年5月27日に開催されました。患者さんたちがどんな想いで難病と向き合っているのかの生の声や、著名アーティストによる楽曲提供などもりだくさんの内容の中から、同じ女性として、ぜひ知っておきたいお話をお届けします。

PAHってどんな病気?

PAHとは、「Pulmonary Arterial Hypertension」の頭文字をとったもので、日本では「肺動脈性肺高血圧症」と呼ばれています。

心臓から肺へ血液を送る血管の圧力である肺動脈圧が高くなる「肺高血圧症」という病気の一つで、難病に指定されており、日本には約3,700人の患者さんがいます。初期症状が運動時の息切れや動悸、胸の痛みというありふれた症状であり、疾患認知も低いため、症状が発現してから治療開始まで平均3年半かかるとされています。肺に血液を送る心臓の右側に負担がかかり、全身に血液(酸素)を必要なだけ送れなくなり、全身の機能が低下する病気です。

近年、増加傾向にあり、女性患者さんは男性患者さんの約2倍の発症率で、妊娠可能年齢の女性に好発していることが分かっています。年齢層は10歳代から80歳代と幅広いのが特徴で、女性は、加齢とともに患者数は増え、70歳代がピークとなっています。

日本人の女性患者さんが抱える苦しみとして、心臓への負担を避けるため重い物を持たないようにと医師から言われるため、「子どもを抱きかかえることができない」「買い物で大根などの重いものを買って持ち帰ることができない」という声が挙がっており、同年代の女性としては切ないものです。また周りにこのような人がいれば、サポートしてあげたいものですよね。

オンラインでバーチャルイベントが開催!患者さんの生の声も

そのPAH患者さんやその家族、医師が集まったオンラインイベントが2021年5月27日(木)に、ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門であるヤンセンファーマ主催で開催されました。その名も「60 minutes together(シックスミニッツトゥギャザー) -PAHバーチャルキャンプ-」です。

これはPAHの疾患認知の向上と患者さんの孤立や悩みの軽減を目的とした、疾患啓発プロジェクト「6 minutes together」の一環で、イベントの参加者はバーチャルキャラクターとなって画面上に登場し、合図を送ったり、拍手などのリアクションをしたりと楽しい雰囲気が作り出されていて、なごやかなイベントとなっていました。

医師・PAH患者さんによる講演のほか、PAH患者さんのために書き下ろした楽曲「6分」を提供した歌手の一青窈さんをビデオ出演ゲストとして迎え、楽曲に込めた想いや制作秘話などが紹介されました。

イベントにビデオメッセージで参加した一青窈さん。ちょうど6分で作られた楽曲も披露。

この「6分」という楽曲は、PAHの患者さんが行う診断や治療経過観察で受ける「6分間歩行検査」に寄り添うもの。そしてこの「6分」を含め、本プロジェクトの主旨に賛同した他のアーティストたちの6分間の楽曲を集めたプレイリストが、ヤンセンファーマのSpotifyアカウントにて期間限定で公開されています。ぜひチェックしてみてください。

この病気を知ってください」女性患者さんの生の声

その中でも、貴重な機会だったのが、女性患者さんの生の声が聴けたこと。

NPO法人 肺高血圧症研究会・代表理事で声楽家の重藤啓子さんの講演では、彼女の発症のきっかけや想い、一般の人に向けたメッセージが熱く語られました。

重藤さんが自身のPAHの症状に気付いたのは、イタリアでの生活中。ぜいぜいと息苦しいと感じながら坂道を上っているときに失神してしまったことがきっかけでした。失神は5分間でしたが普通ではないと分かり、イタリアの病院を受診。結局、病気が特定できず、ようやく日本でPAHと診断をされたときには、医師から余命2年の宣告を受けたそうです。

結局、良き医師に巡り会い、重藤さんは現在、病気を抱えながらも肺高血圧症研究会の代表理事・声楽家として活躍しています。そして自身の病気を受け入れられたのは、同じPAH患者さんと知り合い、代表として活動していく中で、自分以外のところに意識が広がっていったことが理由ではないかと話しています。

現在、コロナ禍で誰もが感染したくないと思って暮らしていますが、重藤さんはPAH患者さんとして、より感染が怖い状態にあると話します。そして最後には「この病気を知ってください。周囲に患者さんいるかもしれません」ともコメントをくれました。

この病気はまれではあるものの、誰にでも起こり得ること。自分自身がその立場になる可能性だってあるのです。そして周囲にもしこのPAH患者さんがいたら、ぜひサポートを♡

(UNICORN編集部)

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